日本の永住権とは?許可要件と書類など申請に必要な情報を完全解説

2025.08.17

永住権とは

日本の永住権は、日本国籍に変えることなく、在留期限や就労制限がなく日本に住み続けることができます。

日本の永住権は必ず他のビザから変更により取得しますので、海外から直ちに永住申請をすることができません。

「永住者」の在留資格については、その在留期間は無期限であり、原則として更新手続を行う必要はありません。

もっとも、在留カードについては有効期限が定められており、7年に一度、期限が到来した際には新しい在留カードへの更新(再交付)手続が必要となりますが、更新に伴う審査はありません。

永住権を取得するメリット

在留期間は無期限

永住許可を取得した後は、在留期間は無期限であり、たとえ長期間母国に滞在した場合でも、在留期間の更新を心配する必要はありません。

ただし、出国から 1年を超えて日本に戻らない場合 には、永住資格は自動的に失効してしまいます。そのため、1年以上海外に滞在する予定がある方は、出国前に「再入国許可」または「みなし再入国許可」の手続きを行うことが必要です。
在留活動は無制限

職種・業種を問わず、職業を自由に選択することができます。会社経営についても日本人と同様に1人でも、資本金が少額も、事務所の制限なく自由に会社を設立することができます。

配偶者・子の永住申請条件が緩和になる

永住権を取得すれば、配偶者・子の方は「永住者の配偶者等」に在留資格を変更することで、永住許可申請の要件が緩和されます。さらに、「永住者の配偶者等」在留資格をもっている方は、就労制限が無くなりますので、日本で行う仕事の選択肢が大きく広がります。

日本人又は永住者配偶者と離婚または死別しても日本にずっと滞在できる

「日本人(永住者)の配偶者等」の在留資格をお持ちの方が離婚や死別をした場合、6か月以内に就労ビザや定住者ビザなど、別の在留資格へ変更するか、本国へ帰国する必要があります。これに対して「永住者」の場合には、そのような在留資格の変更手続は一切不要で、日本にそのまま居住を続けることができます。

社会的信用の向上

永住者となることで、不動産の購入や銀行ローン・学資ローンなどの融資、さらにはお子様の就学といった日常生活の多くの場面において、外国人であっても就労ビザや留学ビザの場合と比べ、社会的信用が大きく向上します。

日本国籍に変更する必要はない

永住権を得れば、日本国籍に変えなくても、一生日本で暮らすことができます。これが「帰化申請」との大きな違いです。

「永住」と「帰化」の違い

日本で長時間生活されている多くの方が、「永住が良いのか、それとも帰化が良いのか」という点で悩まれています。これは、在日外国人の皆さまにとって共通の大きなテーマといえるでしょう。

  • 母国の国籍を放棄したくないが、日本人と同じように福祉や社会的な恩恵を享受したい…
  • 日本のパスポートを取得したいが、将来母国に帰国する際のビザ取得が煩雑になるのではと心配…
  • 自分は永住で十分だが、子どもには生まれた時から日本国籍を与えたい…

具体的にどのような違いがあるのでしょうか?以下の表にご参考ください。

永住 帰化
国籍 外国籍のまま(中国籍などを保持) 日本国籍(原則として母国籍を放棄)
在留カード 7年ごとの更新が必要(審査不要) 不要
申請先 出入国在留管理庁 法務局
申請可能の在留期間 原則10年以上 5年以上
申請可能の就労期間 原則5年以上 3年以上
在留資格の取消対象 ×
退去強制の対象 ×
申請の手数料(収入印紙代) 10,000円 無料
不許可になった場合 従来の在留資格継続 従来の在留資格継続
お子様の国籍 母国の国籍 日本国籍
日本のパスポート ×
選挙権・被選挙権 ×

永住権の取得要件

(1)素行善良要件
  • 禁錮刑や罰金刑などの犯罪歴がある方
  • 交通違反のような軽微な法令違反であっても、同様の行為を繰り返している方

このような場合には、素行善良要件を満たさないと判断され、永住許可が認められない可能性があります。

交通違反について、単に通行禁止を通行した場合等1点ケースだけで素行善良要件を満たさないとはされませんが、明らかな故意による違反ケース(飲酒運転、無免許運転、20キロを超えるスピード違反等)では、素行善良要件を満たさないとされる可能性が高いです。
「家族滞在」の在留資格を有し、資格外活動許可の制限である週28時間を超えて就労している場合も、素行善良要件を満たさないとされる可能性が高いです。
※ 日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には、(1)素行善良要件に適合することを要りません。
(2)独立生計要件

日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれることが必要です。

必ず申請人自身が具備している必要はなく、申請人が配偶者等とともに世帯単位で見た場合に安定した生活を続けることができると認められる場合には、独立生計要件を満たすとされます。また、必ずしも収入のみで判断されるのではなく、世帯単位で預貯金、不動産等の資産を有している場合には独立生計要件を満たすとされます。
「経営・管理」ビザから永住許可申請の場合、会社の安定性と継続性も審査され、会社について欠損が連続しているような場合、独立生計要件を満たさないとされる可能性が高いです。
独立生計要件に係る確認対象期間は、以下の表にご参考ください。
在留資格の類型 確認対象期間
ポイント80点以上を有している高度人材外国人 申請時から直近1年間
ポイント70点以上を有している高度人材外国人 申請時から直近3年間
「特別高度人材」に該当する外国人 申請時から直近1年間
上記の類型以外の外国人 申請時から直近5年間

※ 日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には、(2)独立生計要件に適合することを要りません。

(3)国益適合要件
  • 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。この期間のうち、就労資格又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを求められます。
「引き続き」とは、在留資格が途切れることなく在留を続けることです。再入国許可(みなし再入国許可)を受けずに出国したり、海外滞在中に再入国許可が失効したるすると、在留資格は消滅し、引き続き在留していることを認められません。
在留期間の半分以上の期間を、海外出張等により海外で生活しているような場合、日本に生活の本拠ではないとされ、合理的な理由がない限り、永住許可されない可能性があります。
就労ビザをもって在留している外国人が、永住許可申請の審査中に転職した場合は、転職後の業務について「就労資格証明書」を取得する必要があります。
  • 公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに届出等の義務)を適正に履行していること。
公的義務の履行について、申請時点において納税(納付)済みであったとしても、当初の納税(納付)期間内に履行されていない場合は、原則として不許可となります。
所属機関に関する届出等の届出義務の不履行を理由に国益適合要件を満たさないと判断される例が増えています。
公的義務の適正な履行に係る確認対象期間は、以下の表にご参考ください。
在留資格の類型 確認対象期間
税金 ポイント80点以上を有している高度人材外国人 申請時から直近1年間
ポイント70点以上を有している高度人材外国人 申請時から直近3年間
「特別高度人材」に該当する外国人 申請時から直近1年間
日本人・永住者の配偶者等 申請時から直近3年間
上記の類型以外の外国人 申請時から直近5年間
年金、健康保険料 ポイント80点以上を有している高度人材外国人 申請時から直近1年間
「特別高度人材」に該当する外国人 申請時から直近1年間
上記の類型以外の外国人 申請時から直近3年間
  • 現に有している在留資格について、最長の在留期間をもって在留していること。
在留期間「3年」を有する場合は、「最長の在留期間をもって在留している」ものとして取り扱うこととします。
  • 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。

※ 日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には、(1)素行善良要件及び(2)独立生計要件に適合することを要りません。しかし、担当審査官によっては、(1)素行善良要件及び(2)独立生計要件を要らないためには、身分関係だけでは足りず、「日本人・永住者の配偶者等」ビザを保有していることまで必要であることを注意しなければなりません。

10年在留の緩和
  • 日本人、永住者及び特別永住者の配偶者

実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上本邦に在留していること

  • 「定住者」

5年以上継続して本邦に在留していること

  • ポイント計算を行った場合に70点以上次のいずれかに該当するもの

「高度人材外国人」として必要な点数を維持して3年以上継続して本邦に在留していること、又は、永住許可申請日から3年前の時点を基準としてポイント計算を行った場合に70点以上の点数を有していたことが認められ、3年以上継続して70点以上の点数を有し本邦に在留していること

  • ポイント計算を行った場合に80点以上次のいずれかに該当するもの

「高度人材外国人」として必要な点数を維持して1年以上継続して本邦に在留していること、又は、永住許可申請日から1年前の時点を基準としてポイント計算を行った場合に80点以上の点数を有していたことが認められ、1年以上継続して80点以上の点数を有し本邦に在留していること

  • 「特別高度人材」次のいずれかに該当するもの

「特別高度人材」として1年以上継続して本邦に在留していること、又は、1年以上継続して本邦に在留している者で、永住許可申請日から1年前の時点を「特別高度人材」に該当することが認められること

身分保証人について

永住許可申請を行う際には、必ず「身元保証人」を立て、その関係書類を提出しなければなりません。

身元保証人となることができるのは、日本国籍を有する方、永住者、または特別永住者に限られています。申請人が日本人や永住者と婚姻している場合には、配偶者の方が身元保証人になることが一般的です。
  • 身元保証人に求められる要件

安定した収入があること

納税義務を適切に履行していること

社会的信用があること

  • 提出が必要となる書類

身元保証書(入管庁指定の様式)

納税証明書または課税証明書(市区町村が発行するもの)

在職証明書(勤務先から発行されたもの)

その他、必要に応じて住民票や印鑑証明書を求められることがあります。

  • 身元保証人の責任について

身元保証人は法律上、申請者の生活費や帰国費用を必ずしも負担する義務が生じるわけではありません。

ただし、入管庁に対して「申請者が日本社会で安定した生活を送ることを保証する立場」であるため、その社会的信用が重要視されます。

このように、身元保証人は単なる形式的な要件ではなく、永住許可申請において重要な審査要素のひとつです。

※ 当事務所では、身元保証人をお引き受けしたり、保証人をご紹介することはいたしておりません。実際の身元保証書をよくご確認いただき、ご自身でご判断いただけますと幸いです。そのため、誠に恐縮ではございますが、そのようなご依頼やご相談には対応いたしかねます。

永住許可申請の必要書類

  1. 就労(家族滞在)ビザ→永住はこちら
  2. 高度人材・ポイント80点以上→永住はこちら
  3. 高度人材・ポイント70点以上→永住はこちら
  4. 特別高度人材→永住はこちら
  5. 日本人の配偶者等→永住はこちら
  6. 定住者→永住はこちら

永住許可申請のポイント

独立の生計を営むに足りる資産

単に資産を保有しているだけでは十分ではありません。安定的かつ継続的な収入が最も重要とされます。さらに、扶養しているご家族の人数によって、必要とされる収入額が高くなる傾向があります。

引き続き10年以上日本に在留

長期の出国歴がないことが最も重要です。さらに、通算で10年以上日本に在留していることが原則とされ、その期間のうち少なくとも5年以上は就労系または居住系のビザで継続して在留していることが求められます。(高度人材等の特例がございます)

公的義務を適正に履行

税金や年金、健康保険といった公的義務は、きちんと履行していることが大前提となります。さらに、それらを期限内に確実に履行していることが、非常に重要な要件となります。

素行が善良で法律を遵守

もちろん、犯罪行為はいけません。さらに、交通違反の履歴や転職後の届出義務の履行状況、アルバイトの経歴なども審査の対象となる傾向があります。

永住許可申請の流れ

  1. お問い合わせ:電話、メール、LINE、WeChatなどから、お気軽にお問い合わせください。(お問い合わせの料金について)
  2. 当事務所での対面相談:お客様の状況をしっかり把握し、オンライン面談にも対応可能です。
  3. 御見積書のご交付:同じ依頼内容であれば、御見積書の交付の後、報酬額が増えることは一切ございません。(報酬額について)
  4. 委任契約書の締結、報酬の入金:契約書の締結と報酬・着手金のご入金を確認後、業務を開始します。
  5. 申請書類の収集、作成:必要書類の収集を迅速にご案内または代行し、申請理由書などの作成まで丁寧に対応します。
  6. 入国管理庁に申請代行:入管へのオンライン申請にも対応し、追加書類があれば、速やかにお客様へご案内します。
  7. 在留カードの取得代行:申請結果は速やかにご通知し、許可の場合は在留カードを代行取得します。
  8. 残金の精算・無料再申請:立替金や実費、成功報酬の場合は残金を精算します。不許可の際は無料で再申請します。

永住ビザに関するQ&A

Q:私の年収で申請が可能かどうか、どの基準を目安に考えればよいですか?

A:扶養家族がいない場合、少なくとも年収300万円程度が目安となります。近年は審査が厳しくなっているため、年収が概ね300万円に満たないと、他の事情との総合判断ではあるものの、不許可となる可能性があります(独身者であれば、年収が300万円にわずかに足りなくても、許可されることがあります。)

扶養家族がいる場合、年収要件の目安は「扶養家族1人につきおおむね70万円を加算した額」と考えられています。

ただし、この「70万円」という基準は、過去の許可事例や不許可事例の傾向を踏まえて導き出された推定値にすぎません。実際の審査では、申請人ごとの生活状況や扶養環境などが考慮されるため、必ずしも「平均年収に70万円を加えれば許可が下りる」というものではありません。あくまで参考となる「一つの目安」としてご理解ください。

被扶養者(海外在住の者も含みます。)の数が多くなれば、世帯単位で求められる収入額は高くなります。

Q:過去の交通事故による罰金が、永住許可の審査にどのような影響を及ぼしますか?

A:交通違反について、単に通行禁止を通行した場合等1点ケースだけで素行善良要件を満たさないとはされませんが、明らかな故意による違反ケース(飲酒運転、無免許運転、20キロを超えるスピード違反等)では、素行善良要件を満たさないとされる可能性が高いです。

前科があるからといって、必ずしも永住許可が受けられないわけではありません。また、交通違反の「反則金」と刑事罰としての「罰金」は性質が異なり、反則金の支払いが直ちに永住申請に不利となるものではありません。

Q:永住審査中に在留期間更新が不許可になった場合はどうなりますか?

A:在留資格の更新が不許可になってしまうと、永住申請も認められません。このままでは日本に滞在できなくなるため、永住よりもまず現在のビザを確実に維持することが大切です。不許可理由を丁寧に確認し、必要に応じて再申請や別の在留資格の申請を一緒に検討していきましょう。

Q:永住許可の審査中に転職をしましたが、問題はありますか?

A:就労系の在留資格をお持ちの方が転職された際には、必ず「就労資格証明書」を取得してください。
この証明書は、転職先での業務内容が現在の在留資格に適合していることを示す重要な書類であり、永住申請においても安心材料となります。

当事務所では、この就労資格証明書の申請をはじめ、必要な書類のご案内から作成までしっかりとサポートしております。転職に伴う永住申請への影響がご不安な方も、どうぞ安心してご相談ください。

Q:住民票などの証明書類は、自分で準備しなければならないのか、それとも事務所で対応してもらえるのでしょうか?

A:住民票などの各種証明書については、原則としてお客様ご自身にてご用意いただきます。もしご都合がつかない場合は、当事務所での代行も可能です。お気軽にご相談ください。

Q:永住申請の際、申請者本人が入国管理局へ出向く必要はありますか?

A:入管にお客様ご自身で行っていただく必要はありません。
当事務所には申請取次資格を持つ行政書士が在籍しておりますので、ご依頼いただければ、入管への申請も含めてすべて代行いたします。

Q:永住許可の審査にはどれくらい時間がかかりますか?

A:永住申請の審査は、通常4~6か月ほどかかります。内容によっては、さらに時間がかかるケースもありますので、余裕をもって申請されることをおすすめします。

Q:遠方に居住している場合でも、永住許可申請のサポートを依頼できますか?

A:はい、地方や遠方にお住まいの方でも問題ありません。オンライン面談や郵送を組み合わせることで、来所いただかなくても永住許可申請をしっかりサポートいたします。

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